今まで2回ほど熱を出した以外は、たいした病気もせずに旅してきた僕ですが、他にも何回か苦しんだものがあります。
それは、下痢なんです。
一日に何十回もトイレに駆け込み外出もままならないといった細菌を原因とする性質の悪い下痢はしたことがないのですが、水や食べ物にあたったりしてお腹がかなりゆるくなるということはあります。
そんな状態の時は、常に頭の中でトイレの場所を確認しながらの街歩きとなります。
しかし、それでもどこかの町に滞在しているのならば、まだましです。
それが長い移動の日に重なったりしようものなら‥‥。
朝、なにやら腹のあたりがぐるぐるといやな感じがして目が覚める。
もしかしてこの感覚は‥‥。
いつもは目が覚めても寒さのためしばらくはベッドの中でもぞもぞと惰眠をむさぼっているのですが、今朝はベッドからはね起きトイレに向かう。
ああああああ〜。
なんてことだ。
昨晩食べた鯖の燻製がまずかったか。
最初一口食った瞬間、ちょっとやばいかなと思ったんだよね。
でも、もったいないから全部食っちまった。
食い意地のはった、僕の馬鹿野郎〜。
そんなことはさて置き、今日はグルジアを出国してアルメニアに向かおうとしていたのに、どうする?
もう一日滞在を延ばして様子を見たほうが良いか。
それとも強行突破するか。
う〜ん、そうだいつまでもこんな所でぐだぐだしていてはいけない。
先に進まなければ。
「もうちょっとゆっくりしていきましょうよ〜」という他の宿泊者による誘惑を振りきり、バックパックに荷物を詰めます。
そして、もう一度トイレに行き、いざ出発。
くるならこい!
でも、できるならこないで下さい!
ミニバスに乗り南へ、アルメニアへ向かいます。
マルネウリという町でミニバスを乗り換え、サタフロという国境の町まで行きます。
ここまで約2時間、全てが順調です。
ミニバスを降り歩いて国境に向かいます。
グルジアの出国手続きを済ませ、更に歩いて今度はアルメニア側に向かいます。
入国審査官はすごく親切。
ビザ申請のための用紙の記入の仕方も丁寧に教えてくれます。
こんな係官ばかりだったらいいのに。
そして、ビザ代は15000ドラム(約50ドル)で向こうにある建物の中に両替所があるからお金を用意してこいと言われます。
その建物に入ると、お昼休みなのか何人かのおっちゃんがテーブルを囲んで食事をしています。
そのおっちゃんら、僕の姿を見つけるとこっちへ来いこっちへ来いと呼びます。
近づいていくと、まぁ飲め飲めとウォッカを勧めてきます。
おいおい、おっちゃんたち、昼休みなのにこんなもの飲んで大丈夫なのか。
お腹のことを考えると口になにも入れたくない。
しかし、むげに断るのも悪いかと考え、一杯だけ頂戴することにしました。
でも、その報いはすぐにやって来たのです。
無事アルメニアに入国して、今日の目的地であるアラヴェルディ行きのバスを待っていました。
すると、きました、きました。
もちろんバスじゃないです。
かなりやばい。
慌てて周りを見渡します。
すぐに営業しているかしていないか分らないような寂れたホテルが一軒目に入ります。
それ以外は近くに建物は見当たりません。
ここにかけるしかない。
人がいることを願い、その敷地に入ります。
するとすぐにおっちゃんが顔を出してくれました。
トイレを貸してくださいと頼むと、おっちゃんはあっちあっちと指を差して教えてくれます。
バックパックをそこに放りだして、トイレに駆け込みます。
あああああ〜。
セーフ。
バスはアラヴェルディに1時間ほどで着きました。
ようやくここまでこぎつけました。
後は宿まで歩くだけです。
20分くらいの道のりです。
腹の調子は悪くない。
これなら大丈夫だ。
しかし、歩いていると小さい方がしたくなってきた。
でも、これは男である僕にとってそう大きな問題ではない。
用を足せそうな場所を探します。
すぐに道の脇に物陰になるような場所を見つけました。
周りに人がいないか確認し、チャックを下ろします。
そして、下腹部に力を入れ‥‥。
あっ。
油断した‥‥‥。