夜、寝ていると胃のムカつきを感じ目が覚める。
しばらくベッドの中でじっとして治まるのを待つが、一向に気分は良くならない。
むしろ吐き気までしてくる始末だ。
しまいには耐え切れなくなってトイレに駆け込む。
そして、吐く。
小便もしたくなりすると、また吐き気をもよおす。
そして、小便をしながら吐く。
いったい何なんだ、この惨めな状況は。
何が原因だ?
昨晩、屋台で食った焼き鳥か。
いや、その後食べた同じく屋台のハンバーガーか。
あの焼いてからどれだけ時間が経ったか分かったもんじゃない肉のパテは今考えるとやばそうだったものなぁ。
くそ〜僕が何をしたってんだ。
なんでこんな目に遭わなくちゃならないんだ。
翌朝、目が覚めると吐き気はないものの、やはり胃の辺りがムカムカして気持ちが悪い。
この僕としたことが、食欲さえない。
周りには、美味しいものがたくさん溢れているというのに食べることのできないこの辛さ。
歩くと体に力が入らずフラフラとする。
5分も歩くと気持ちが悪くなり、どこかに座り込まないといけなくなる。
ほんとなんなんだいったい。
そんな状況で博物館などを巡っている時、通りの一角に人だかりができているのを見つける。
なにかと覗き込んでみると、そこでは白衣を着たおっちゃんが熱弁をふるっている。
どうやら歯ブラシを売っているようで、写真のパネルなどを使いその製品のすばらしさを語っているようだ。
歯ブラシなんてそこまでして売るものなのかとも思いますが、その説明を食い入るように熱心に聞いている聴衆がたくさんいるのも驚きです。
白衣を着たおっちゃんは、一通り説明を終えると今度は実演に入ります。
実験台?は小さな女の子。
このおっちゃんの娘か、知り合いの女の子なのであろうか。
おっちゃんは、歯磨き粉のついた歯ブラシを女の子の口に突っ込み磨いていきます。
これがTVコマーシャルなら白い輝く歯を見せ笑顔でいるところなんでしょうが、この女の子、よほど嫌なのか、はたまた苦しいのか、歯を食いしばり苦渋の表情を見せ必死に耐えています。
それにもかかわらずおっちゃんは女の子の頭を手で押さえ更に激しく磨いていきます。
女の子は、口の中を真っ白にさせ今にも泣き出しそうです。
それでも、必死に耐えています。
う〜ん、この女の子の苦しみに比べれば、僕の胃のムカつきなんて。
頑張れ、女の子!
負けるな、女の子!!