たびタビ旅
旅日記。中南米、アジアなどの2年4ヶ月半の旅。

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朝3時半に起床し、4時に宿を出ます。
ヤギを連れてのハイキングです。
カラーシュの人々は年に一度、このような行事を行っているようです。
祭りに続きこのような行事に参加できるとは運がいいです。
昨日山から連れてきた子ヤギに加え大人のヤギもいて、全部で150頭はいるでしょうか。
昨日のように木の枝で叩いたり、石を投げつけたりしながら、歩かせます。
男の人だけでなく女の人たちもビシビシと厳しく追い立てます。
いつも宿でご飯を作ってくれる大人しそうなオーナーの奥さんも慣れた手つきでヤギを扱います。
さすがにカラーシュの女って感じです。
みんな小さい頃からやらされているんでしょうね。
道は険しいですが、歩くペースはゆっくりゆっくりです。
休憩もたくさんとります。
昨日の疲れも残っているのか体も少しだるく重く感じるので助かります。

そして、何時間か歩いて何回目かの休憩の時、もらったくるみ入りのパンを食べながら座っていると、宿のおばちゃんが一人の若い女の子を指差しながら、嬉しそうに僕にはなしかけてきます。
それを聞いていた他の人々もみんな楽しそうに笑っています。
何を言っているのかはっきりとは分からないのですが、そのみんなの様子からするとどうやらこの女の子と結婚しないかみたいなことをふざけて言っているようなのです。
女の子は照れて、顔を隠してしまっています。
あぁ、僕も旅をここで終えることになるのか。
いや〜もてる男はつらいです。
ところで彼女は何歳くらいなのであろうか。
見たところ20才くらいに見えるのだが。
何才?
14才。
え‥‥!?
一回りどころか二回り近く僕と歳が離れています。
こりゃ、犯罪ですね。
旅は続けましょう。

ゆっくりゆっくりと歩いているものの、やはり長時間歩いていると疲れてきます。
なかなか目的地に到着しません。
12時を回っても歩き続けます。
最後は山の谷間を上へ上へと歩いていきます。
もうこの辺でいいんじゃねぇかもう勘弁してくれよと思いますが、みんなもくもくと歩き続けるので僕も歩かなくてはなりません。
もう僕はくたくたです。
周りの山の景色と可愛い子ヤギたちが僕の疲れを癒してくれます。
そして、14時、とうとう今晩の宿泊地である山小屋のある場所に到着します。
標高およそ2900m。
900mほど高度を上げてきたことになります。
すぐ横には氷河が見えます。
もう後はここでのんびりするだけです。
横になり疲れをとります。
しばらくすると子供がやかんに氷を削ったものを持ってきました。
どうやら氷河から削り取ってきたもののようです。
そして、それにイチゴシロップをかけて食べます。
氷河のカキ氷です。
僕も少し食べさせてもらいます。
冷たくて、甘くて、美味い。
そう言えばカキ氷なんて食ったの久しぶりだなぁ。

しばらくのんびりしていましたがふと手持ちの水がないことを思い出します。
山小屋の近くには水を汲める場所はありません。
ちょっと歩いて氷河を渡った所まで行かないとなりません。
疲れてはいましたが、水がないと困るので散歩がてら行くことにします。
この決断がこの後のあの惨事につながっていくとは、この時は知る由もありませんでしたが‥‥。
5分ほど石がごろごろしている道を歩くと氷河にたどり着きます。
そして、そこを横切ろうと歩き出します。
しかし、靴がつるつるとすべり思うように歩けません。
どうにか歩こうと悪戦苦闘しますがやはりうまくいきません。
いったんあきらめることにします。
もう少し上の方をためしてみようと、氷のない所まで戻り、そこから斜面を登ります。
しかしその斜面も砂地で不安定で思うように進めません。
どこか掴める場所はないかと探します。
すると目の前に手ごろな大きな石があるのが見えます。
それを掴みます。
そして、力を入れて体を引き上げようとすると、突然その石がぐらりと動き、転がり落ちたのです。
僕もバランスを崩し、一緒に後ろ向きに転がり落ちます。
そして、何かが僕の左手に当たったような感触がありました。
あまり痛みは感じません。
どうなったのだ。
恐る恐る左手の方に目をやります。
すると薬指と小指のつけねから手のひらがざっくりと裂け、そこになにやら見えてはいけないようなものが見えてしまっています。
そして、薬指がこれまた曲がってはいけない方向に向いてしまっているじゃありませんか。
いって〜!!
やってしまった〜!!!
傷口からみるみるうちに血が溢れ出します。
手首を押さえうずくまります。
うぉ〜!!っとひとり叫びます。
こんな山奥でなんて怪我をしてしまったんだ。
いったい僕はどうなってしまうんだ。
周りには誰もいません。
うぉ〜うぉ〜ひとり悶え苦しみます。
とりあえずみんなのいる山小屋まで行かなくては。
力を振り絞り立ち上がります。
斜面を歩きます。
すると突然足が滑ります。
そして、そのまま斜面を滑り落ちるように尻をぶつけながら落下。
おうおうおうおうああああああぁあぁぁ。
3〜4mは落下したでしょうか。
氷河のところでとまります。
ああ〜いったいなんなんだよ〜!!
うぉ〜!!!!!
幸い今回は怪我はありませんでした。
しかし、しばらくうずくまります。
こんな所でいつまでもくずくずしてはいけないと気力を奮い立たせ、再び歩きます。
そして、しばらく歩くと一緒に山を上ってきた羊飼いのおっちゃんが僕に気づいてくれました。
少しほっとします。
おっちゃんに抱きかかえられるようにして山小屋まで。
みんな僕の怪我を見てびっくりし、心配してくれます。
小さな子供の中には泣き出す子までいます。
時間は4時。
暗くなる前までに果たして町まで戻ることができるのか。
いや戻らなくてはならない。
とうていこの状態でここで一晩過ごすことはできない。
さっそく下りることにします。
道案内に男の人が二人ついてきてくれます。
日本人のK夫妻も僕の荷物を持って一緒に下りてくれます。
そして、みんなに別れを告げ歩き始めます。

下りは上ってきたのとは違う道を歩きます。
かなり平坦で歩きやすいので助かります。
これならなんとか明るいうちに宿まで戻ることができそうです。
歩いていると頭の中にいろんなことが浮かんできます。
なぜこんな怪我をしちゃったんだろう
子供たちを怖がらせ泣かせてしまってたな。
せっかくのみんなの楽しいイベントだったのに。
みんなすみません。
K夫妻にも予定を変更してわざわざついてきてもらうことになってしまった。
せっかく山で見る星空を楽しみにしていたのに。
怪我の具合はどうなんだろう。
骨折はひどいのだろうか。
指が動かなくなるような後遺症は残るのだろうか。
この旅もこれで終わりなのだろうか。
憧れのフンザにも行けないのだろうか。
フンザはパキスタン北部の中国国境にも近い場所にある地域で、7年前の旅で中国側から国境を越え訪れる予定だったのですが、まさに入国しうようとする直前911NYテロが起こりパキスタン入国が不可能になりあきらめたということがあったのです。
そして、今回もまた‥‥。
僕はフンザに行けない運命なのか。
そう考えるとなんとなくおかしくて、こんな状況にもかかわらずなんか笑みがこぼれてしまいます。
それにしてもどうしてこんな事故にあってしまったのだろう。
もしこの行事に参加していなければ。
もし上ってくる途中にあった川で水を汲んでいたならば。
もしあの岩を掴んでいなければ。
そうすれば今頃はなにごともなく過ごしていたであろう。
そんなたくさんの「もし」も頭に浮かびます。
でも、またちがった「もし」も頭に浮かびます。
もし石が手ではなく頭の上に落ちていたならば。
もし一人ではなく誰かと一緒にいて、石がその人に当たっていたら。
そんなことを考えると僕はなんとついているんだと思い気が軽くなってきます。
これは僕が自分で考え判断して行動してきた結果なので仕方ないのだ。
起こったことをそのまま受け入れなければならない。
これもまた旅の一部じゃないか。
しかし、手の痛み、そして、手がちゃんと治るのかということを考えると再びまた暗く沈みこんでしまうのです。

7時ごろには宿に戻ることができました。
しかし、ここルンブールには病院がありません。
すぐに荷物をまとめ、オーナーにジープの手配をしてもらい、チトラールに向かいます。
ジープはでこぼこ道を飛ばします。
早く病院に行って治療してもらいたい。
あとちょっとだぞ。
しかし、今日は日曜日、チトラールに着く頃には多分8時を回っている、果たして病院は開いているのだろうか、という不安も湧き出てきます。
たのむ開いててくれ。
病院の前に着くとそこには明かりがついていて、何人か人がいました。
ジープの運転手が訳を話してくれます。
どうやらドクターはいるようです。
良かった〜。
とりあえずほっとします。
僕は病院に入り、すぐに診察台の上に横にならされます。
手に消毒液のようなものをかけられ洗われます。
傷口しみて痛いですが、それよりもこびりついている血と泥をきれいに洗い流されて、治療してもらっていることの方が嬉しいです。
痛みのため目をつぶります。
しばらくして目を開けると‥‥。
真っ暗。
目を開けたのに真っ暗。
どうやら停電したようです。
こんな時に勘弁してほしいです。
病院だから自家発電装置がすぐ作動するのかと思っていたら、誰かが明かりを持ってきました。
懐中電灯かなにかかと思って見ると、それは携帯電話。
携帯電話の液晶画面の光で照らしているじゃありませんか。
おいおいおい、本当に勘弁してくれよ〜。
あわてて僕も自分が持っていたデジカメのスイッチを入れ液晶画面を光らせます。
50歩100歩ですけど。
でも幸いなことにすぐに電気は復旧しました。
よしよし。
そうしている間に手の洗浄は終わり、いよいよ手の傷を縫い合わせるようです。
やはり針で縫うってのは痛いのでしょうか。
ちょっと怖いです。
しばらくすると手にチクッチクッという感触を感じます。
おっ、いよいよ縫い始めたのか。
でもそんなに痛くはありません。
これぐらいならどうってことはありません。
で、そのチクッチクッが終わりこれで治療完了かと思って、手に目をやるとまだ縫われていません。
どうやらさっきのチクッは麻酔注射の痛みだったようです。
あちゃ〜。
それから15分ほど時間をおき麻酔がかかるを待ち、いよいよ縫い始めます。
ズクッ。
おおぉ。
麻酔は効いているもののやっぱり少し痛いし、針と糸が手に通されていく感覚がなんともいやな感じ。
早く終わってくれ〜。
目を閉じ耐えます。
すると顔に涼しい風が吹きつけるじゃありませんか。
なんの風だろうと目を開けると、看護士の兄ちゃんが口でフーフーと息を吹きかけているじゃありませんか。
兄ちゃん、気持ちは嬉しいんだけど‥‥。
可愛い女の子ならまだしもねぇ。

そして、そうしている間に無事に治療は終了。
手にぐるぐると包帯を巻き待合室のような所に連れていかれます。
そこには山からずっとついてきてくれていたK夫妻が待っていてくれました。
その顔を見た瞬間、ほんとうに心からほっとしました。
一緒についてきてくれたってだけでどれだけ心強かったでしょう。
本当にありがとうございました。
そして、買ってきてくれたペプシコーラ。
クワ〜ッ、うまかった〜。

病院を出て宿にチェックインしたのが夜10時過ぎ。
手の痛みで眠れるか心配だったのですが、痛み止めの薬が効いたのか、朝早くから動き続けて疲れきっていたからか、すぐにぐっすりと寝入ってしまいました。
こうして、僕の長い一日は終わったのでした。
| sin | パキスタン(2) | 17:02 | comments(2) | trackbacks(0) |
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いやぁ〜も〜、読んでると内臓が縮むよ。痛そうで。
| くま | 2008/07/09 3:20 PM |
もうだいぶん良くなりましたよ。
これからは気をつけます!!
| sin | 2008/07/19 7:38 PM |









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