今日は、太陽の祭インティライミが行われる日。
いろいろな儀式がクスコ市内、郊外で行なわれます。
一番のメインは、クスコ市街より歩いて30分程の場所にある遺跡サクサイワマンの広場で行われる儀式。
広場に設けられた観覧用の座席に座るにはお金が必要になってくるのですが、その広場を囲む丘の上から見るの無料なのです。
僕はもちろん丘の上から見ることにします。
同じ宿の人達5人で宿を10時過ぎに出ます。
儀式自体が始まるのは14時頃からなのですが、見物場所が早いもの勝ちなので早めに出るのです。
11時前には着いたのですが、そこには既に大勢の人が座っていました。
僕らも適当に場所を見つけ座ります。
時間が経つにつれ、どんどんと人が増えてきますが、ここで小さな争いが勃発します。
それは、朝早くから来て場所を押さえている人達対、開始間際になって来た人達の仁義無き戦い。
後から来た人達も、少しでも良い場所を確保しようと人の隙間をぬって前へ前へと行こうとするのですが、先にいた人達は、もうここは場所がないから来るな来るなと阻止しようとします。
その剣幕は、大阪のおばちゃん顔負けの迫力あるものです。
最初は、先にいた人達が優勢だったのですが、後から後から増えてくる新しい人達の圧力にだんだんと耐え切れなくなり、最後はなし崩し的に侵入を許すこととなってしまいました。
こうして勝負は決したのでした。
しかし、この日の戦いはそれだけで終わりではなかったのです。
次の戦いは、インティライミの儀式が始まった直後に起こりました。
儀式が始まると、それをもっとよく見たいと思う人達が一斉に立ち上がり、前へと詰めかけます。
しかし、早めに来て前の方の良い場所を確保していた人達は、ゆっくりと座って見たいのです。
それが、たくさんの人々が立ち上がって前に押し寄せたために、見えにくくなってしまったのです。
そのため座っている人は前で立って視界の邪魔になっている人達に向け、みかんの皮やゴミを投げつけます。
この戦い、どうなるのかと固唾を飲んで見守ります。
座っているグループの中に、10人ほどの子供連れの団体がいました。
この人達は、周りがどんなに混み合おうが、大きく広げたシートの上に悠然と座っていました。
しかし、押し寄せる人の圧力がこの人達にかからない訳はありません。
儀式を見ることをそっちのけで、押すんじゃない、来るんじゃない、とさかんに文句を言って自分達のテリトリーを死守しようとします。
そのように暫くの間、押し寄せてくる人達に勇気を持って立ち向かっていましたが、1時間もするとさすがに耐え切れなくなったのか、荷物をまとめると周りの群集に罵声を浴びせその場を立ち去ったのでした。
この人達にとってのインティライミっていったい‥‥。
またしても群集の勝利という結果なってしまいました。
大勢の人間に個人で立ち向かうことの難しさを、こんな所で再確認させられることとなってしまいました。
え?肝心のインティライミの儀式はどうだったかって?
これが、また退屈で退屈で。
王様らしき人たちがステージの上で厳かに儀式を執り行なっているのですが、迫力もなにもあったもんじゃない。
やはり生身の人々の戦いの方が楽しいってもんです。