トレッキングの疲れをとるべく、ポカラの町でのんびりしています。
山もいいけど、たくさんのレストランがあり、ネット屋があり、小さいながらもスーパーマーケットもある、そんな便利な町の生活もいいもんです。
特にこれといってすることもまた気力もないのですが、今日はズボンを買うことにします。
日本を発ってからずっと同じジーンズをはいてきたのですが、それも長い旅をする間にあっちゃこっちゃ破れてきてしまっていたのです。
それを今まで甲斐甲斐しく自分で縫ったりして騙し騙し使ってきたのですが、トレッキング中にかなり壊滅的なダメージを受けてしまったのです。
股下から尻の辺りまでざっくりと破れ、そこから下着がちらちらと見える状況になりました。
セクシーとも言えなくはないですが、残念ながら大部分の人は不快に感じられるようなので、いよいよ新しいズボンを買うことにしたのです。
何軒か店を回ってみます。
これはデザインがちょっとなぁ、これは生地がちょっとなぁ、と悩みながらも楽しく見て回ったのですが、その内にちょうどいい感じの物を見つけました。
ちょっと悩んだ末に、よし買おう!っと決断しました。
後は、値段交渉です。
おばちゃんにハウマッチ?と訊くと、なにやら書かれているノートを持ち出して調べます。
そして、これは本当は1150ルピーなのだが、サービスで850ルピー(約1500円)にすると言います。
それでも、少し高いような気もします。
日本でユニクロで買ってもこのくらいの値段で買えるんじゃないのか。
それとも、さっき別の店でこれよりもちょっと質の落ちるズボンの値段を訊いた時は700ルピーと言ってたし、こんなものなのか。
一応少し値切ってみます。
800ルピーでどう?
これぐらいの値下げなら喜んで同意するかと思ったのですが、おばちゃんは厳しい顔をしてこれ以上は下げられないと言います。
どうしようか。
僕の中ではこのズボンが気に入っていたこともあり850ルピーでも仕方ないかなと思っていたのですが、もう一度じっくりと考えてみると言って店の外に出ようとします。
するとおばちゃんは、よし分った分った800ルピーでいいよと言ってきます。
この店を出る「ふり」というのが、値段交渉の時のもっとも有効な手段だと僕は思います。
いくらにしてくれと色々交渉して、結局まとまらなくてそれではいらないと店を出ると、ちょっと待て待てそれでオッケーだと言われることがよくあります。
今回もそれが功を奏することになったんですが、おばちゃんは「お前はきびいしい」「お前はきびしい」と繰り返し泣きそうな顔をして僕に言います。
そんな様子を見ていると、850ルピーというのは十分適切な値段であったのかなと思ってきます。
僕はあまり値切るのが得意ではなく、どちらかかというと売っている人に悪いような気がしてしまい弱気になってしまう甘ちゃんであり、できるだけ安く買い叩くというより適切な値段で買えればいいという考えであります。
でもやはり相場とかけ離れた法外な値段で買うのはいやなので、もちろんいろいろ店を回ったりして調べますし、値切ることもします。
その結果、買った後に、僕もお店の人も笑顔で別れることができればベストであります。
ですから今回のようにすごく落ち込んだ表情を見せられると、なんかすごく悪いことをしたのかなと思ってしまいます。
まぁ、逆に異様に喜ばれてしまうとそれはそれでかなりぼられたのか?と心配にもなってくるのですがね。
値切るのは難しいです。