アムリトサルの近くにある国境ワガボーダーは、インドとパキスタンの間を通過できる唯一の場所であります。
明日にはここを通りパキスタンに向かう予定なのですが、今日もその国境へ向かいます。
何のために?
それはこの国境で行われるクロージングセレモニーを見に行くためなのです。
ここの国境は夕方4時で閉じられるのですが、その後インド、パキスタンが一緒になって掲げられている国旗を降ろすセレモニーをするのです。
今まで数々の国境を越えてきましたが、こんなセレモニーをする所なんて聞いたことがありません。
はたしてどんなものなのでしょう。
バスに1時間ほど乗った後、乗合のオートリクシャーに乗り換え国境へ向かいます。
リクシャーを降りた後、さらに500mほど歩きます。
やはりセレモニーを見に行くのか、大勢の人がぞろぞろと歩いています。
水やジュース、セレモニーの様子をおさめたDVDを売りに来る子供たちもいます。
なんかコンサートでも行くような感じがして、ちょっと楽しい気分になってきます。
国境には5時ぐらいに着きました。
そこにはなんとコンクリートで作られた立派なスタンドがあり、そこからセレモニーを見学できるようになっています。
そして、さらに驚くべきことにそのスタンドはすでにたくさんの人で埋め尽くされています。
たかが国旗を降ろすだけのことに、なぜこんなにも人が集まるのか。
週末ならまだしも、今日は月曜日です。
そんなにおもしろいものなのか。
なんとか座る場所を見つけ、セレモニーの始まるのを待ちます。
太陽はかなり低くなっているものの、昼間に日光で暖められたコンクリートの熱がズボンを通して尻にじんじんと伝わってきて、汗がだらだらと流れ落ちてきます。
場内にはインドポップスが大音量で流れています。
そのうちにインドの国旗を持った人があらわれ、それを掲げながらスタンドの前を駆け抜けます。
みんな興奮し、「インド」「インド」と叫んでいます。
すごい熱気です。
さらに観客の数は増え続け、スタンドだけでは納まりきらず、その前の道路にもたくさん人が座っています。
そして、6時になりようやくセレモニーが開始されました。
6、7人の赤い羽根のついた鶏冠のような帽子をかぶった兵隊があらわれ、一列になり行進します。
そして、その中の一人がその隊列から離れ、ものすごく高く足を上げものすごい速さで歩いて国境の門の方へ進んでいきます。
パキスタン側にも同じように兵隊がいて、同じようなことをしています。
そして、門を挟んで向かい合いまるでどっちが高く足を上げれるか競っているようにさらに張り切ってがしがしと動きます。
観客もそれを見て大興奮です。
少しでもよく見ようと立ち上がる人もいます。
するとそのため見えなくなった後ろに座っていた人が怒り、立った人に対して水をかけたりペットボトルを投げつけたりします。
あちこちで怒鳴りあいです。
この熱気、興奮はいっったいなんなんだ。
もう一度いいますが、今ここで行われているのはサッカーやクリケットなどのスポーツの試合ではなく、毎日行われている単なる国旗を降ろすってだけの儀式なのです。
いったいこの儀式のどこにこれほど興奮させる要素があるのか。
インド人、わけ分かりません。
そして、観客の興奮の中、国旗が厳かにゆっくりとゆっくりと降ろされセレモニーは終わったのです。
あれ、これだけ?って感じです。
しかし、周りには満足そうな顔をして帰路につく人々。
おいおい、なんでそんなに満足そうな顔をしているんだ。
本当にそれでいいのか、インド人。