4週間のイエメンの旅を終え、イスタンブールに戻ります。
すごく楽しい滞在でした。
町並みや風景は綺麗だし、物価も安く、そしてなんと言っても人がすごく親切である。
旅をする上において、国にも「旬」というものがあるような気がします。
旅を楽しむ上において必要なものに、物価が安い、人が親切である、見所があるなどの要素があると思うのですが、これらが全て揃っている国というのはあまりないし、あったとしてもそれを維持し続ける国というのはさらに少ないのです。
急激な経済発展により物価が上昇し、昔ながらの建物が壊され、そして、その国特有の文化が薄れてきたりします。
また、旅行者が増えることにより、人もすれてきたりします。
そのような意味で、イエメンは今まさしく「旬」なのではないかと思うのです。
いつまでもこの良さを保ち、旅人を魅了し続けて欲しいものです。
そうは言っても、10年後には金、金、金のぼったくりの国になっていたりするのかもしれませんがねぇ〜。
昼12時半の飛行機でイエメンを発ち、10時間あまりのUAEでのトランジットを経て、イスタンブールに朝5時前に到着。
一度来ているだけに、緊張感のようなものはあまりありません。
前回の入国審査はなんの質問もない簡単なものでした。
今回も楽勝であろうと高を括っていたのですが‥‥。
4列ほどある入国審査の列に適当に並びます。
みんな質問をされることもなくパスポートに入国スタンプを押してもらってます。
空港からすぐにバスに乗れるかななどと考えていると、僕の順番がきました。
グッドモーニングと言って、パスポートを差し出します。
推定年齢40歳ほどの男の審査官はそんな僕の言葉を無視して、パスポートをぱらぱらとめくります。
そして、パスポートの顔写真と僕の顔を見比べます。
確かにパスポートの写真と現在の僕では別人のようですが、本人に間違いありませんよ〜、早く入国させてちょうだ〜い。
そんな僕の思いとは裏腹に、審査官はルーペを取り出し、それを使いパスポートを念入りに調べ始めました。
おいおい、勘弁してくれよ〜、そのパスポートは本物なんだから。
しかし、審査官はそれでさらに確信を持ったのか、今度は光に透かしたりして見ています。
まじかよ〜。
そして、やっとパスポートから手を離しました。
これでやっと疑いが晴れたのかと思いきや、その審査官は別の係員を呼びました。
二人は二言三言話したと思ったら、その呼ばれた男の人は僕のパスポートを持って奥の部屋へと消えていきました。
おいおい、ほんとかよ〜。
僕はとりあえず横で待っておくように指示され、審査官は後ろに並んでいた人たちの入国審査を始めました。
僕は、ただただみんなが入国していくのを眺めているしかありません。
どうみても僕より怪しいやつはいるだろう〜、なんで僕だけなんだ〜。
10分ほどすると先ほどの男の人が僕のパスポートを持ってきて戻ってきました。
そして、また二言三言話したと思うとパスポートを置き、帰っていきました。
はいはい、これで僕の疑いは晴れただろ、早くそのパスポートにぽんっとスタンプを押してちょ〜だい。
しかし、それでも僕は放置プレーされたまま、他の人の入国審査を続けていきます。
そうしてさらに10分ほど経ち、とうとうみんな入国してしまい、残ったのは僕ひとりになってしまいました。
これでいよいよ僕も入国させてもらえるのかと思いきや、審査官はまたまた僕のパスポートを調べ始めます。
いったい何が問題なのだ。
先ほど、奥で調べて問題なかったのではないのか。
ああ〜、僕はいったいどうなるのだ。
僕のいるブースに、業務を終えた他の審査官たちも集まってきます。
そして、僕の担当の審査官に向かって何が言っています。
その雰囲気から察するに、このパスポートは問題ないよと言ってくれているみたいです。
みんなどんどん言ってちょ〜だい。
それでもその審査官は納得がいかないようです。
もういい加減お願いします。
観念したのか、手にスタンプを持ち僕のパスポートをめくります。
そして、その手を振り下ろし、ようやくしぶしぶといった感じでスタンプを押してくれたのでした。
ふ〜、疲れた‥‥。
僕って、そんなに怪しいのか‥‥?