アラヴェルディは、アルメニア北部の鉱山のある谷底の小さな町。
町にはサナヒン修道院がある他、周辺にも10〜13世紀の貴重な教会がたくさんあります。
午前中はロープウェイに乗って、町の高台にあるサナヒン修道院を見学しに行きます。
雪の積もった中に静かにたたずむ修道院は、僕以外に観光客もなく、しんみりと神秘的な感じがしてなかなか良かったです。
また近くには、この村出身の航空技術者ミヤコンを記念するミヤコン博物館もあり、その横には初期のミグ戦闘機が置かれています。
このミグという名前、ミヤコンの「ミ」と共同開発者のグリイェヴィッチの「グ」をとってつけたらしいのです。
お〜、そうだったのかと驚きました?
僕は、かなり驚いちゃいました。
まぁ、どうでも良いことなんですけれど。
午後は、食事をとった後、郊外にあるハグパット修道院に行きます。
ガイドブックによるとその修道院のある村へ行くバスがあるとのことだったのですが、バス停に行って寄ってきたタクシードライバーに尋ねるとバスはないといいます。
タクシーで行くしかないといいます。
こいつ騙しているんじゃないかと思い、他の人にも訊いてみるがやっぱりないと言う。
冬で観光客が少ないからなのか。
でも、そこの村の住人は困らないのか。
疑問はあるが、ないものはないのでどうしようもない。
タクシーの値段は往復で3000DR(約1100円)なので出せない金額でもないのだが、歩いても2時間ほどで行けるとガイドブックには書いてある。
それなら時間もあるし歩いてみようかという気になる。
2時間なんて日本で生活していたら絶対歩こうとは思わない距離ですが、旅をしていると歩けこうかなと思ってしまうから不思議であります。
それでもちょと長くて退屈するかなと思い、いったん宿にウォークマンを取りに戻り、音楽を聴きながら歩きます。
これまた丘の上にあるハグパット修道院には、途中道に迷うこともなくほぼ2時間で到着。
修道院は、午前中見たサナヒン修道院と規模も雰囲気も似たような感じで、これまた良かったです。
また、そこで出会ったアルメニア人の家族連れのおっちゃんはとても陽気で親切な人で、言葉は全く通じないものの身振り手振りで僕のガイドをしてくれます。
嬉しいものです。
そして、おっちゃんと別れ修道院を出て、再びアラヴェルディの町に戻ろうと歩き始めます。
しばらくすると目の前に雪の積もった山々の景色が現れました。
その風景を見ると僕は柄にもなくちょっと感動してしまい泣きそうになってしまいました。
今までこれと同じような風景をたくさん見てきましたが、そういうことはありませんでした。
2時間もかけて歩いたからか、それともおっちゃんに親切にされたからか、はたまたその時ウォークマンから流れていた曲がバラードであったからなのか。
よく分かりませんがとにかく幸せな気分になったのでした。
それからまた町に向かい歩いていると、後ろから車がやってきて僕の横で止まります。
窓を下ろし若い兄ちゃんが乗っていくか?と尋ねてきます。
う〜ん、親切だ。
今日はなんて気持ちの良い日なんだ。
車だけに歩くと2時間かかった道を15分くらいで町に着きます。
すると兄ちゃん、なにやらアルメニア語で僕に捲くし立ててきます。
どうやら金を払えってことらしい。
なんだこいつ!
これってタクシーだったのか。
確認しなかった僕も悪いのですが、ムカつきます〜。
あ〜気分悪い。
せっかくの幸せな気分だったのに‥‥。
人生何事もプラスマイナス、バランスが取れているもんです。