トドス・サントス・クチュマタンという舌を噛みそうな呪文のような名前の村に来ています。
ここは先住民族の住む小さな村なのですが、今日は週に一度開かれるサタデーマーケットの日であります。
教会前の広場では市が開かれ、周辺からも人が集まり賑やかになります。
まったくその情報は知らず、土曜日にここにいるのは偶然なのですが、ラッキーでした。
昨日、しんどい思いをして、コバンからここまでミニバス、バスを乗り継ぎ、10時間以上かけて来た甲斐があるってもんです。
グアテマラは、各地で色彩豊かな伝統衣装を見ることができるのですが、ここトドスサントスクチュマタンは、その中でもひと際鮮やかで美しい衣装だと言われています。
そして、僕も、今まで南米を含め数多くの少数民族の村を見てきたのですが、ここは「旅行者」にとって、最高の少数民族の村ではないかと思うのです。
その理由は、いくつかあるのですが、まず挙げられるのは、村人の民族衣装の着用率の高さです。
ほとんど全員っていいほどの人が着ているのですが、驚くべきは男の人たちも赤に白いラインの入った可愛い服を、ほとんどの人が身にまとっているのです。
女の人が伝統衣装を身につけていることはよくあるのですが、男の人となるとジーンズにTシャツといったような僕らとそう変わらない格好をしていることが多いのです。
この村の男たちが、広場の柵にもたれかかり、ずらっと立ち並び世間話をする風景は、壮観というしかありません。
そして、もう一つ言えることは、この村の人々のフレンドリーさです。
一般的に少数民族の人々は、あまり旅行者に対して、優しくないのです。
よそ者が来ているな、なんだこいつは、みたいな目で見られることが多いのです。
写真を撮っていいかと尋ねても、拒否されるとか、お金を請求されることも多いのです。
親しげに話しかけてくるのは、物売りの人たちくらいなもんです。
それが、この村では違うのです。
みんな笑顔を見せてくれます。
向こうから話しかけてきてくれる人もいます。
写真は、ほとんどの人が快く撮らせてくれます。(もちろん嫌がる人もいますが。)
中には、写真を撮ってくれ撮ってくれと頼んでくる人もいるぐらいです。
撮った写真を見せてあげると、すごく喜んでくれます。
僕も、嬉しくなって、写真を撮りまくりました。
少数民族の村で、こんなに写真を撮ったのは初めてだと思います。
そのような昔ながらの伝統を守っている彼らなのですが、意外なことに何名か英語を話す人にも会いました。
中南米では、都市部でも英語を話す人はまれだというのに、こんな山奥の村で何故?
話を聞いてみると、アメリカで働いたことがあるというのです。
来月から一年間働きに行くという人にも会いました。
こんな山奥の村の人がそう簡単にアメリカで働けるものなんでしょうか。
不思議であります。
そして、アメリカという国に行きながら、自分らの村に帰ってくるとまた自らの民族衣装を着る彼ら。
不思議な村なのであります。