ベリーズシティーに戻ってきました。
ここは、ベリーズで一番大きな町なのですが、なんて小さくしょぼいことか。
高層ビルもないし、ショッピングセンターのような大きな商業施設もない。
店も夕方6時には、ほとんど閉まってしまう。
夕食を食べようとしても、開いているのは中華料理屋くらい。
これが本当に一国の経済の中心地なのか・・・、信じられません。
人口が8万4ooo人しかいないと聞けば納得もしますが、世の中いろんな国があるもんです。
そのような町なので、観光する場所もあまりありません。
で、近郊にある動物園に行ってみます。
この動物園、国の補助を受けない民営の小さな動物園なのですが、これがかなり素晴らしいのです。
動物も珍しいものはベリーズの国獣に指定されているバク(夢を食べると言われますが、なんででしょうねぇ)くらいで、後は猿だったり、鹿だったり、ワニだったりとありきたりな物が多いのです。
その何が良いのかと言うと、ここの動物達はみんなすごく人なつっこいのです。
普通の動物園の場合、動物は人に対して無関心ですし、時にはどこかに隠れてしまいその姿を見せないこともあります。
しかし、この動物園の動物は近づいて来るのです。
手を出すと舐めてくれたりもします。
バク、鹿、カワウソ、アンツイーターベアー、タイガーキャットなどいろんな動物に触ってしまいました。
何故こんなに人なつっこいのかと言うと、入園者が少ないこともあると思いますが、ここの動物園では餌を与える時に柵越しにあげることが多いみたいなのです。
ですから、人が来ると餌を貰えると思って近づいて来るみたいなのです。
よく考えているもんですね。
どんな動物でも近寄って来てくれると可愛いもんですね。
そして、その動物たちの中でも極めつけに可愛いのはジュニアです。
ジュニアは生後6ヶ月のジャガーの子供です。
園内を歩いていると、若い男の係員からジャガーの子供は見たかと声をかけられました。
見ていないと答えると、親切にもその檻の前まで連れていってくれました。
しかし、この動物園は動物をその種が生息している自然環境に近い状態で飼育したいという理念を持っているため、柵の中は木が鬱蒼と生い茂り、ジャガーの子供の姿を見ることはできません。
すると、その係員はそのジャガーの名前を呼び始めました。
「ジュニア、ジュニア、ジュニア。」と。
果たして呼んで来るものなのかなと思いますが、その係員は呼び続けます。
すると、しばらくして、茂みの中から小さなジャガーがひょっこりと顔を出すではありませんか。
そして、近くまで駆け寄ってきました。
なんて可愛いのでしょう。
その後も、他の動物を見てまわりました。
そして、最後にはまたジュニアの檻の前まで戻ってきました。
やはりジュニアの姿は見えません。
果たして僕が呼んでも来るものなのか。
呼んでみます。
「ジュニア、ジュニア、ジュニアー。」
どうだ?
しばらくすると茂みの奥の方で何かが動く気配がします。
そして、ジュニアがひょっこり顔を出します。
うーん、たまらん。
僕はジュニアにノックアウトされてしまいました。