やっとこさラバスを発ち、次なる町ポトシへやってきました。
夜行バスに乗ったものの、着いたのは朝の4時半過ぎ。
早すぎるって。
しかも、めちゃくちゃ寒い。
それもそのはず、ここラパスは標高4070mに位置する世界最高地の町。
何でも世界最高と聞くと嬉しい性質ですが、眠くて寒くて辛いです。
とりあえずバスターミナルの近くの店で、暖かいコカ茶を啜りながら日が昇るのを待ちます。
ポトシは、16世紀に銀山が発見、開発されて以来新世界最大の都市として栄え、現在でもスズ、銀、銅などを産出する鉱山都市である。
ここでは、その鉱山の採掘現場をツアーに参加して見学することができるのです。
それも昔使われていた場所ではなく、現在行なわれている現場を見ることができるのです。
宿に荷物を置くと、さっそく朝8時15分からのツアーに参加します。
汚れてもいいように雨ガッパの様な厚いビニール製の服を着て、頭にはヘッドランプ付きのヘルメットを被り、いざ出発。
まず、マーケットに立ち寄り、鉱山労働者へのお土産として、ジュースやコカの葉、タバコ、ダイナマイト等を買いこみます。
ダイナマイト!
そう、ここでは、だれでも気軽にダイナマイトを買うことができるのです。
さすが鉱山の町ってところですかね。
そして、いよいよ鉱山に向かいます。
その入口は、身長177cmの僕が少しかがまなければならない位の小ささ。
そこにはレールが引かれ、掘りだした鉱石を積んだ小さなトロッコが行き交っています。
まさしく現在進行形の鉱山。
ガイドの案内の元、その奥へと進んで行きます。
その真っ暗闇の中は、進むほど更に低く、狭くなり、しゃがまなくては進めない所もあります。
場所によっては、しゃがむどころか這いつくばらなくてはなりません。
さらに中の道は、幾層にもなっており上り下りもしなければなりません。
予想以上のきつさ。
服もあっという間に埃まみれになります。
しかし、なんと言っても辛いのは、その空気の悪さ。
もうもうと立つ砂煙が、ヘッドライトの光の中に見てとれます。
そして、この中にはかの悪名高きアスベストもたくさんあるらしいのです。
マスクを買ってこなかった事を後悔します。
この鉱山の中では、12歳ほどの少年から60歳ほどの年配の男の人までたくさんの人達が働いています。
1日8-10時間、その間、食事を取らず、代わりにコカの葉を噛みながら、働き続けます。
いったいどれだけ体に悪いことか。
20年もすると大抵は体を壊し、働けなくなるそうです。
文字通り命を削る仕事。
早死すると分かっていながらここで働く人達は、どういう気持でいるのでしょうか。
ツアーのガイドは昔、同じ様にここで働いていたそうですが、怪我をしたきっかけにガイドに転身したそうです。
早くここを辞めることができて自分はラッキーであった、そして、自分の息子にはここで働くことは勿論、ガイドの仕事さえやらしたくはないと言っていました。
それでも、この仕事をする以外に選択の余地がなく、ここでもくもくと働き続けなければならない男たちが大勢いる現実。
2時間半程の鉱山内のツアーを終え、再び日の光の下に戻ります。
その目も眩む様な明るさに、そして、その清みきった空気に、心からほっとします。
しかし、この瞬間にも、いやこの先何年もの間暗闇の中で働き続けることになる男たちがいるのです。
このような仕事をせずにすむという自分の生まれた環境のありがたさ。
自分って恵まれてます。
しかし、デスロードのツアーもそうでしたが、こんな鉱山さえもツアーにして観光地にしてしまうボリビア。
たくましいって言うか、凄いって言うか、なんて言ったらいいんでしょうねぇ。