急遽山を下りることとなった。
本来の予定は今日一日山の上をトレッキングし、もう一泊ここに泊まり下山することになっていた。
それを、午後2時に麓のキャンプ場に向けて出発することになった。
その原因は、虫歯。
あの歯が痛くなる虫歯です。
バリーは、トレッキングを始める前から虫歯が痛いと言っていたのだが、高度の高い所に来た影響もあるのか、痛みが増し、昨晩はほとんど一睡もできなかったらしい。
歯医者を目指し勉強中の学生であるアニータの診たところによると、やはりかなり酷いらしくできるだけ早く医者に行った方が良いとのこと。
よって、午前中のトレッキングが終わり、キャンプ地に戻り昼食を取った後、みんなで午後の予定をキャンセルして山を下りよう、そうすれば一日早く医者に見せることができるからと、バリーに提案した。
僕は、もうちょっとここに居たいという気持ちも無かった訳けでもないが、バリーの苦しみを考えればそうも言ってられない。
しかし、バリーは僕らに遠慮してか、下りるとは言わず、大丈夫だと言う。
それでも、もうここの風景も十分見たから下りようと何回も説得するのだが、やはりバリーは大丈夫だと言い張る。
さすがにみんなも諦め予定通り今晩もここに泊まるということになった。
しかし、午後のトレッキングに行こうとなった時、マイクルとアニータはもうトレッキングは十分だから、テントに残ると言う。
これは、バリーを山から下ろすための作戦か?
バリーもウェンディーも行かないと言うので、ほとんど皆行かないということになる。
そうなるとみんなでここに滞在することの意味もなくなる。
そこでもう一度、バリーに山を下りようと提案しました。
すると、さすがに同意して、みんなで下りることとなったのです。
しかし、人間というものはつくづくいろんな事を考える生き物だなと思う。
「バリー下りよう」「うん、分かった」で終わる話が、こんな回りくどい事になってしまうのだ。
ホント非効率な話だと思う。
まぁ、それが相手のことを思いやる人間らしさというものかもしれないが。
僕なんてついつい本人が大丈夫って言ってるんだから放ってたらいいやんなんて言ってしまいそうです。
ほらほらそこの読んでいる君、僕なら確かに そういうこと言いそうな冷たい奴だなんて思わない!
こうして、6日間の予定は、5日間になったのでした。
その分、一日に歩く距離が増えたので、僕はもうクタクタ、足はガタガタ。
でも、充実した楽しいトレッキングでした。
それにしても、虫歯で予定を変更することがあろうとは、さすがに予想もしてませんでした。
つくづく旅ってもんはいろいろな事が起こるもんだと実感しました。
そして、虫歯と言えば、僕は今まで一度も虫歯になったことがない。
これが僕の唯一の自慢できることか!?
丈夫な歯にしてくれた、お父さんお母さんありがとうー。